05 Oct 三度目の殺人 福山雅治が未熟さを露呈した法廷サスペンス
夜、二人の男が川べりを歩いています。後ろを歩くのが、役所広司。役所は突然凶器を振り上げ、前を歩く男を打ちのめします。倒れた男にガソリンを振り撒き火をつけ焼き殺すんですね。それが映画のオープニング。男は逮捕され、彼の弁護士なるのが福山雅治、監督は、「万引き家族」でカンヌの最高賞をとり、一躍国際派になった是枝裕和。意味ありげな演出で、少々閉口しました。まずタイトルは三度目の殺人で、役所は以前に人殺しの事件を起こしているんですね。で、これが二度目の殺人。三度目の殺人とは、どういう意味なんだろう。それと最後のカット。福山が交差点の真ん中に立って、ポーズを決めているのは、何か意味があるんですか。一番の致命傷は、福山の迫力のない演技。弁護士と犯人という関係上の、刑務所でガラスを挟んで二人が対峙するシーンがかなりあります。こんなことを言うと、ファンから袋だだきにあいそうですが、大人と子供が芝居しているという感じに見えました。確かに相手が悪すぎた。役所はなんと言っても、天下の名優。今回も、話が⒉転3転する、信用できない犯人を一発触発の感じでぬめっと演じていますが、それと福山をくらべるのは酷と言うものなのかも知れない。福山の本職は歌手。歌の世界でスーパースターになり、ルックスがいいので、映画に引っ張り出された訳ですが、映画出演が続くのは、彼の映画が当たっているからでしょう。もう1本、「そして父になる」を見ていますが(これも是枝作品)、可もなく不可もなくだと思いました。赤ちゃんの取り違えを扱ったドラマですが、主人公の少年に全く感情移入ができず、乗れなかったです。監督の「万引き家族」は見ていますが、心に直接響く、掛け値なしの秀作「誰も知らない」のような作品と出会いたいと個人的には思っています。この映画に戻ると、同じオフィスで働く弁護士として吉田鋼太郎、満島新之助、殺された男の妻に斉藤由貴らが脇を固めていますが、どうってことのない役をどうってことのない演技でお茶を濁していました。ただ男の娘役の広瀬すずだけが陰影のある演技で強い印象を残します。
60点
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